カレーライス
明治初期インドから英国を経由し日本へ。戦前、軍の兵員食としてカレーライスが採用され、それまで洋食と縁遠かった地方出身者がカレーと出会い瞬く間に全国に広まった。いまや国民食のひとつとして不動の地位を築いている。
・・・・・・何だろう。わたし今「女心」について考えていたんだけど、
ある一つの物体が頭の中に思い浮かんだの。
・・・そう、カレーよ。
じゃがいもやにんじん、りんごハチミツ・・・様々な具材が奏でるオーケストラは、まさに女心そっくり。カレーのルー、それはすなわち辛さや甘さなど、様々な感情という名の香辛料が渾然一体となった、熱いマグマなのよ・・・
「辛い」という字と「幸せ」という字は、似てる。
カレーライスを治める者は、幸せを治めることができるということね。
当然、普通に食べてたんじゃダメ。
さっき、カレーのルーは女心だって言ったわよね。
一流は、自分の気持ちを伝えるために、ルーを巧みに操るの!
まあ、習うより慣れろってことで、実際にやってみるわね。
(出してきて)
もうあまり話をしたくない男と食べているときは、
この、こんもりと盛られたご飯の山脈を、ココロの壁に見立てて・・・
(ルー注ぐ ご飯は向こう側)
ルーの香りを嗅がせない。
私の心の中、見せたくありませんってわけ。
そして、これからココロの距離を縮めて行きたいって男と食べているときは、
ご飯山脈はこちら側。
(ルー注ぐ ご飯は手前側)
私のありのまま、熱いルーを相手側に向け、
思う存分かぐわしき匂いを嗅いでもらう・・・
分かる?(皿を回しながら)好き。嫌い。好き!嫌い!
ご飯とルーの位置で、現在の私を意思表示してるってわけなの。
そしてメッセージが伝わるか伝わらないかのタイミングで、一気に口へ!
(スプーンで大きくひと口頬張って)
辛い・・・
じっくり寝かせた方が、カレーも人生もおいしいの。
本日の機長はあなた、フライトアテンダントはわたくしニューヨークでした。
皆様のまたのご搭乗、心よりお待ちしております。
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